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藤枝サウンド研究所物語3
オーディオFSK製品導入の記録など

〜オーディオの名工とも言うべき藤枝サウンド研究所の製品の導入など〜
オーディオアクセサリー誌に、オーディオFSK物語を広告で連載し続ける藤枝サウンド研究所(オーディオFSK)。読み進めるたびに、独特のケーブルに関する考え方や、社主の人柄に惹かれていってしまいます。アンプやプレーヤー、核付きケーブルなど一部高価な製品もありますが、基本的には、手作りの割に、商品のインフレの進むオーディオ業界において、非常に安価な製品が多く、とても好感がもてます。私自身も、電源ケーブルやRCAケーブルなど、オーディオFSKの製品を導入してみました。また、藤枝先生のご推薦の、アンプEx-pro Valve300や、スピーカーVICTOR SX-500DEなども、つい買ってしまいましたので、それらの製品を使った感触や、その顛末などを書いていこうと思います。

Ex-pro Valve300の修理

Ex-pro Valve 300

 Ex-proのValve 300を使っていたのですが、どうも音が歪む様になってしまいました。真空管アンプなので、定期的なメンテナンスは必須だと思っていますし、熱を発することから、他の電子部品への影響も大きそうです。6L6GCの真空管だけ交換すれば直るのでしょうか?アンプに関しては完全な素人なので、下手に手を出して壊してしまっては元も子もないので、素直にEx-proへ修理に出すことにしました。

 ちなみにこのアンプは、オーディオFSKで改造したものではなく、ノーマル品です。今はEx-proからValve 300SEが発売されています。Second Edittionになって、どの程度音質が向上したのでしょうか。気になりますが、私はこのアンプを使い続けて行こうと思っています。また、オーディオFSKで改造をお願いすると、いくらぐらいになるのか、今度本社へ伺う時に、藤枝社主へ聞いてみようと思います。

 で、結局故障の原因はパワー管の6L6GCが動作不良を起こしていたからだそうです。パワー管を新品に交換し、ランニングテストをして修理完了ということでした。修理代が2万台後半。エントリーモデルのアンプが買える費用です。今度故障したら、自分で真空管だけ交換しようかしら。などと考えてしまいますが、アンプに関する知識は皆無。たとえ、真空管だけ交換しても、他の部分の調整などの知識が全く無いので、素直に修理に頼んだ方が良さそうです。しかも、真空管4本の価格、故障箇所の修理や調整の労務費、その他間接経費を加えると、まったく妥当な修理金額です。今度壊れたら、どんなグレード真空管を使っているのか確かめてみようと思います。

 知り合いにアンプを自作されるオーディオマニアがいる方々がうらやましいです。私も、電気工学を修めた友人がいるのですが、アンプとは畑違いのソフトウェアとシステム開発へ進んでいるので、聞いても答えてくれません。

(2008年09月21日)

ギタリストの村治佳織さんとSX-500DE

 ステレオサウンド誌 2008年 No.167号に、クラシックライターの小林悟朗氏が、「音のたまもの」という音楽家との対談の連載で、SX-500DEを取り上げられました。小林悟朗氏は、自宅で、ゴトーのマルチホーンシステムと、B&W社の802Dとともに、今回の号の別の特集「魅了するコンポーネント いま私がほしいもの、手に入れたもの」の中で、他の評論家の先生方が、狂気とも思える高額なオーディオ機器を挙げる中、VictorのSX-500DEを「人を正気にさせる音」として、導入したと書いておられます。以下、小林悟朗氏を(小林)、村治佳織さんを(村治)と原文のまま一部引用いたします。

            〜〜〜〜〜〜〜引 用〜〜〜〜〜〜

村治佳織 VICTOR SX-500DE ビクター

(小林)
ビクター盤の「アランフェス協奏曲」の録音は、オーディオ的な鮮度感が高くて面白いんだけど、演奏はどこか生真面目な感じがするんです。だから、デッカ盤とは随分印象が違いますね。

(村治)
よかった、変わっていて(笑)。せっかく長くやっているんだから、8年前と同じじゃつまらないですもんね。今回、あらためてアランフェスに取り組むのに、あえてビクター盤をまったく聴かなかったんです。自然に変わっているだろうと思いましたから。

(小林)
最近、ビクターのスピーカー、SX500DEを手に入れたんです。試みにそちらでも「ヴィヴァ〜」を聴いてみましょう。

(村治)
このスピーカー、ギターにとてもよくあいますね。B&Wで聴いたよりも気持ちがいいくらい。相性がいい。

(小林)
そうでしょ。

(村治)
ギターを聴くにはこっちの方がいい!

(小林)
そんなこと言われたら、日本中のオーディオファイルはびっくりしますね、きっと(笑)。でも、これは音色が明るくて、音がパーンと出るところが気に入っているんです。価格を考えても、このようなスピーカーでオーディオを始められたら幸せじゃないかと思いますよ。

(村治)
パーンと出る、ってところがギターの発音形態と似ているのかもしれないですね。

            〜〜〜〜〜〜〜引用終わり〜〜〜〜〜〜

 私自身、村治佳織さんのファンであり、CAVATINAやinforniaなどのアルバムは愛聴盤となっています。確かにこのスピーカーを使ってきて、このスピーカーは非常にギターに合うスピーカーだと思います。音量を上げると、エンクロージャーが振動しているのが判ります。またスピーカーのエンクロージャーの素材として一般的なMDFを使っていないことからも、箱をダンプして響きを抑えるスピーカーでは無く、美しい響きをのせて軽い音を殺さない設計なのでしょう。20cmウーハー搭載の2wayスピーカーとしても、質量が軽く、綺麗な箱の響き、そして、ユニットの設計までコストを含め絶妙なバランスで作られたスピーカーだと思っています。

 また、このスピーカーはMade in Japanであるのにもかかわらず、私が買ったときは、実売価格が7万円を下回っており、非常にお買い得なスピーカーでした。安かろう悪かろうでは無く、安く非常に音楽性豊かなスピーカーだと感じます。特に6畳間で普段使っているのですが、作業場兼試聴場の広い部屋(10畳以上、ふすまを開け放つと居間と寝室を合わせて30畳以上)で聴くと、朗々と鳴り、極低い低音や超高域のレンジを除いては、非常に素晴らしい音楽を聴かせてくれます。ほとんど、オーディオはこれで十分といった鳴り方です。

 おそらく、これに同じビクターのMFB式サブウーハーを加えれば、相当のオーディオマニアでなければ、何の不足も無い音楽を楽しむことができるはずです。ただし、やはり部屋の影響は大きく、20cmウーハーをそれなりに生かそうとすると、空間が重要であるといつもながら感じます。今の住んでいる6畳の部屋ではこのSX-500DEの実力を出し切れていないということが認識できました。オーディオは、身も蓋も無い事ですが、何と言ってもまずは部屋、そしてスピーカーなのだと改めて確認したしだいです。

参考文献・引用文献:ステレオサウンド誌 No.167号

(2008年09月21日)

電源ボックスMG-V1

 2008年06月上旬に注文していた、オーディオFSKの電源ボックスMG-V1と、クロム銅製スタビライザーなどがようやく到着しました。他にも電源ケーブルやら、SMG-999サウンドマジラーを頼んでいたので、大分納期が遅くなってしまいました。手作りかつ作ることができるのは藤枝社主お一人ときては、いくら注文が増えても、作れる量は一定です。したがって、納期が大幅に伸びてしまうのが、必然となってしまったのだと思います。

オーディオFSK 電源ボックス MG-V1

 途中不安になったので、藤枝社主に電話を差し上げたところ、オーディオFSK物語の公告の影響なのか、通常1ヶ月の電源ボックス注文量が、ひと月に1年分来てしまったそうです。それらは、一台制作するのに3日かかるそうです。さらに注文が増えても、ハンダ付けや作り方など、自分(藤枝社主)以外には任せられないとのことで、納期が延び延びになってしまっているそうです。通常の企業なら、注文が増えれば人員を増やしても増産して企業を大きくしていくのですが、オーディオFSKに増産はありません。注文が増えても、納期が延びるだけです。

オーディオFSK 電源ボックス MG-V1

 また電源コードも大量に注文を受けているようで、電話の向こうで藤枝社主は、「うちのが一番安いからね。」と苦笑しておられました。なんとなく老骨に鞭打って働かせているような気がしたので、「お身体を大事になさって下さい。」と申し上げて、以後催促するのは止めました。

オーディオFSK 電源ボックス MG-V1

 さて、電源ボックスのMG-V1です。木箱に松下電工ナショナル(今はパナソニック電工になっています。)のコンセントが2個付いています。ホームセンターで数百円で買える接地露出型コンセントです。刃受けは、真鍮です。他のアクセサリーメーカーは、差別化と付加価値を付けるため?コンセントにカーボンナノチューブを使用したCFRPプレート使用の18万円のコンセントを作ったり、ルテニウムメッキやパラジウムメッキ、果てにはプラチナメッキまで施したコンセントを販売していますが、藤枝社主によると、松下の一番安いやつが一番音が良いそうで、実際に耳で聴いた結果で選んでいるそうです。

オーディオFSK 電源ボックス MG-V1

 メッキをする理由には、電子基板類の電磁波からの防護、基材の酸化防止、基材の摩耗からの保護、見た目の美しさなど色々とあるのですが、細い銅線はともかく、銅や真鍮は手で触れない限りなかなか表面は真っ黒になる程は酸化しないものです。そして酸化してしまっても、磨きクロスで磨けば、すぐに酸化膜は取り除けます。

オーディオFSK 電源ボックス MG-V1
(コンセントはパナソニック電工のWK3004Wだと思われます。刃受けのブレードは真鍮製です。)

 昔の製品は2P用だったりしたそうですが、今の製品の基本は3Pコンセントになっています。このMG-V1は、藤枝社主に無理を言って、ニス仕上げをせずに、白木仕上げのままにしてもらうようお願いし、電話では了解を貰ったのですが、しっかりニスの仕上げまでしておりました。やはり職人、決まった仕事はつい最後までやってしまうようです。藤枝社主は、「手で汚れるからニスを塗った方がイイよ。」と仰って下さいましたが、白木のままの仕上げにしてもらい、自分で好きな色のニスを塗りたかったのです。

 ちなみに、藤枝社主にニスで音は変わりますか?と伺ったところ、「変わりません。」とキッパリ言われました。「ニスで音が変わる。」とか「ニスで最終的な音の調整をしている。」とか言われたら、オーディオFSKに対する私の認識が変わっていたと思います。変わらないと仰ってくれて、ますます信頼が置けました。

 MG-V1の動作原理は、チョークコイルで高周波の帯域のノイズを除去するというもので、電気工学的に非常に理にかなったモノだと思います。チョークコイルやノイズフィルター、絶縁トランス、AC/DC/AC Converterなどいくつもあり、動作原理も様々です。何も用いない、ただの普通のオーディオ用コンセントタップが、10万円とか軽く超えるモノがたくさんあるなかで、完全な手作業で作られるこの製品は、多少お買い得だと思います。

 ちなみに、このMG-V1の定格容量は800Wだそうです。このコンセントからアイロンやヒーターを繋げないようにとの、社主直筆と思われる手紙が入っておりました。また、この電源ボックスからの引き出し電源コードは2.5mあります。

 この引き出しの電源コードに限らず、オーディオFSKのケーブルは全て鞘(サヤ)付きで、藤枝社主によると、サヤ効果でノイズに強く、インピーダンスが下がり、逆にノイズなどの高周波は通しにくくする性質があるそうです。これが霜田理論なのでしょうが、その論文を見ていないのでなんとも確認のしようがありません。そしてそのサヤの効果を最も高めるのが、核という銅のカタマリをサヤの途中に付ける事なのだそうです。MG-V1は、チョークコイル方式ですが、MG-V3は銅のカタマリのサヤを使った方式です。ただしMG-V3は、私にとって値段が値段なので、注文することができないのが残念です。

(2008年11月11日)

CEC TL51シリーズプレーヤー(トランスポート)用クロム銅製スタビライザー

 オーディオFSKのクロム銅製スタビライザーを買ってしまいました。52,500円です。いくら一品製作物と言っても高価です。個人的に、なぜベルトドライブで重いスタビライザーを乗っけてCDの円盤を回転させなければならないか、CECのベルトドライブCDプレーヤーの機構には、まったく理解できません。しかし、出てくる音が好みなので仕方ありません。一方で、CDはPCに取り込んでから、iMacとAir Mac Expressでの再生させるのも好み、自分の乏しい知識と経験から、音質向上を理論で理解できない製品などには、なるべく距離を置いて来た私ですが、このスタビライザーは、ついに手に入れてしまいました。

オーディオFSK クロム銅製 スタビライザー

 CECのベルトドライブCDプレーヤー用のスタビライザーは他にもあって、セイシン社製のM2052合金のスタビライザーや、ローゼンクランツの真鍮製スタビライザーなどがありますが、迷わずこのオーディオFSKのスタビライザーを選びました。

オーディオFSK クロム銅製 スタビライザー

 このスタビライザー、クロム銅製です。藤枝社主によると、クロム銅よりも金を混ぜた銅である赤銅を使った方が良いそうですが、あまりに材料単価が上がるため作れないそうです。お寺の鐘で、良い音で鳴る鐘はクロム銅でできているそうです。お寺のあれだけの大きな銅のカタマリに比べたら、質量あたりの単価について、このスタビライザーは著しく高いと思うのですが、最終的な加工が鋳造ではなく、一品ずつの削り出しになることなどを考慮すると、やむを得ません。

 しかし、レコードのプレーヤーなら理解できるのですが、なぜCDをベルトで回転させなければならないのか、そしてそのCDの盤に乗っけるスタビライザーをクロム銅にすると良いと言われるのか。全く理解できません。しかし、人間誰しも理解を超えたモノに、魅力を感じたり所有欲をそそられたりしないでしょうか。私の場合は、それがCECのプレーヤーであり、このスタビライザーだったのです。それがコンセントや、超高額なインシュレーターのアクセサリーの場合の方々もいることでしょう。ですから私もよく考えると、電線病やアクセサリー病に罹った方々に対して云々言うことはできません。(笑)

 私はまず、あの藤枝社主の生き様の一端に触れて、このスタビライザーを買ったのです。音は二の次と言うと、藤枝社主(オヤジ)から怒られるかもしれませんが、この普通の人が見たら、「こんなただの金属のカタマリに5万円?」と言われそうなモノに美しさと物語を感じてしまったのです。

 スタビライザーには、CECのCDプレーヤー用2mの電源コードが付属してきます。また、大きさや寸法もCEC付属のスタビライザーとほぼ同じです。なので、回転モーメントがCECの付属品とほぼ同等であり、モーターなどの駆動系に与える影響は、付属のそれとそれほど違いはないと思います。ちなみにCEC付属のスタビライザーは真鍮製と思われます。

(2008年11月11日)

それでも彼は飛んでいる(クマバチ様によるオーディオFSKの話題が満載のブログ。)

SX-500DEとValve300を広い部屋で鳴らしてみた

 普段住んでいる場所では、このスピーカーとアンプを満足に使ってやることができなくなったので、別の場所に移動しました。20cmウーハーと30mmドームツイーターの2wayのスピーカーと、出力35Wの真空管アンプですが、それなりの環境の元では、いわゆるハイエンド機器顔負けの能力を発揮してくれるはずです。

 そして、移動した先の試聴場兼作業場として使っている場所は、デッド、木造タタミ部屋なので床が弱い、ふすま障子が戸板が振動する、ということを除けば、広く天井の高さも十分にあります。ふすまと戸板を開け放てば、隣りの部屋と空間的に繋がるので、音の籠もりは全く感じられなくなります。

 なにより、ボリュームを上げても全く隣家に迷惑を掛けないという利点があります。(遠いので、たまにしか聴きに行くことが出来ないという欠点もあります。)

 試聴場ではたまにスピーカーを持ち込んで鳴らしていたのですが、今回かなり慎重にセッティングを施して鳴らしてみたので、感想を書いてみることにします。

(2008年08月08日)

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