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8.思考と実験のページ
8.1L-pad型アッテネーターの計算
8.2サウンドカードONKYO SE150PCIの特性

8.3Myspeker用インピーダンス測定治具の制作
8.4winISDによるFostex FW168HRの解析

8.1プリアンプとアッテネーター

 アンプの音質劣化の原因と言われるボリュームに、各社工夫を凝らしています。また、プリアンプもアクティブタイプとパッシブタイプでそれぞれ利点、欠点が言われています。プリアンプで増幅するために、入力のアッテネーターで入力信号を減衰させてから、わざわざ増幅させるという手法を使っている例もあります。アクティブ型プリアンプは、ケーブルやチャンネルデバイダーを駆動するのに重要だと言われているようです。

 マイクなどの微少レベルの信号をラインレベルに増幅させるために、プリアンプは必要な装置だと理解できるのですが、ケーブルを駆動などということは、勉強不足でさっぱり分かりません。また、CDやデジタルプレーヤーなどの出力は十分なレベルを持っており、パッシブ型のプリアンプ(アッテネーター)でも十分に使え、抵抗が入るだけの単純な回路なので音の鮮度が良いという意見もあります。

 どちらでも本人が気に入れば良いのですが、私にとってほとんどのアクティブ型のプリアンプは高額です。一方、アッテネーターなら割と気軽に作ってみることができるようです。私が愛用しているスタックスのドライバー(SRM-727A)には、内蔵ボリュームのバイパススイッチがあり、パッシブ型のアッテネーターを組み合わせているマニアも見受けられます。

 将来的に、あわよくばさらに良い音を聴くことができるのではないかと考え、とりあえず少し勉強のためにまとめてみることにしました。

(2009年11月11日)

L-pad型

 パッシブ型のアッテネーターを調べてみると、抵抗切り替え式で、P型、L型、T型とあることが分かりました。またL型(L-pad型)が直列並列に入る抵抗が2本だけで、最も回路が単純になります。音質を重視したメーカー製のアッテネーターも、L-pad型が多いようです。また入力インピーダンスをほぼ一定にできるのも利点のようです。そこで、L-pad型の計算をしてみることにしました。

(2009年11月11日)

アッテネーターの計算

[図1]


・R1,R2をアッテネーターの抵抗、Rxを入力機器の入力インピーダンスとする.
・Ac間,cd間,cabd間に流れる電流を,それぞれI1,I2,I3とする.
・アッテネーター素子R1,R2によるゲインはGとする.
 

cd間の電圧を考える.
・cabd間の電圧をVcdとすると,Vcd=I1・Rx・・・(2)
・cd間の電圧は,Vcd=I2・R2・・・(3)
・したがって,(2),(3)より
 

・AB間全てのインピーダンス成分をRallとすると,
  
 

(1),(4),(5)より,求めるゲインGは,
 

デシベル表記する場合は,
 

(2009年11月11日)

アッテネーターの入力インピーダンスについて

[図1]


 [図1]のように、アッテネーターはR1,R2で構成されます。そして例えば入力インピーダンス10k(ohm)のアッテネーターは、R1+R2=10k(ohm)となるように抵抗値を決めているようです。しかし、機器の入力インピーダンスRxは、アッテネーターR2と並列になります。Rxが十分に大きい値であれば、Rxはアッテネーターの入力インピーダンスに影響ありません。

 しかし、RxがR2と近い値だと、R2とRxが並列接続された抵抗となり、入力インピーダンスが、Rxの値に伴い変化してしまうようです。実際には、Rx=(無限大)として、アッテネーターの減衰量と入力インピーダンスを決めており、近似的にR1+R2=10k(ohm)としても問題ないのでしょう。


(2010年01月01日)

8.2サウンドカードONKYO SE150PCIの特性

 測定ソフトのMyspeakerは、左右チャンネルの差分で測定を補正しないため、サウンドカード等のデバイスそのものの精度が重要となります。なので、スピーカーや部屋の音響特性の測定に使っている、ONKYOのサンドカードSE150PCIの特性を調べてみました。

 サウンドカードのライン出力をライン入力にRCAケーブルで直結し、サインスイープで測定しました。左右それぞれ測定しました。出力レベルと入力レベルは中央にしました。





 上記の結果から、どうやらサウンドカードの出力と入力の周波数特性は、20kHz付近をのぞくと、だいたい1dBの範囲以内に収まっているようです。当然ながら、出力と入力特性がフラットならば、グラフは一直線になるはずです。絶対的な精度を求めるのには向きませんが、入出力やアンプの特性と比較し、大幅に特性の悪いスピーカーには使えると思います。


(2010年10月07日)

8.3Myspeaker用インピーダンス測定治具の製作

 スピーカー測定ソフトMyspeakerでは、スピーカーユニットのインピーダンスを測定できます。いままでは、セメント抵抗をユニットと並列に繋ぎ、ワニクリップとあり合わせのケーブルを使い、サウンドカードのライン入力やアンプとつなげて使っていました。

 しかし、多種の線が入り乱れて接続ミスやショートさせてしまう可能性がありました。なので、簡単なインピーダンス測定治具を作り、測定ミスを防止しようと考えました。加えて、相対的なインピーダンスの変動だけではなく、測定途中で定抵抗と切り替えられるようにして、より正確なインピーダンスを測定できるようにしました。

[図3.1]


 回路図は図3.1のとおりで、簡単です。通常は0.5Ωの抵抗を通るようにして、スピーカーユニットのインピーダンスを測定します。続いて、高域など適当な帯域で8.0Ωの抵抗に切り替え、スピーカーユニットのインピーダンスと比較して、正確なユニットのインピーダンスを求めます。サウンドカードへ繋ぐRCAケーブルや、アンプとスピーカーユニットへ繋ぐスピーカーケーブルは、接続端子を設けずはえ出しにしました。

 治具と書くと大げさな感じがしますが、セメント抵抗、3Pスイッチ、信号線を基盤上でハンダ付けしてくだけの単純なモノです。

 完成してから、試しに愛用しているスピーカーVICTOR SX-500DEのインピーダンスを計ってみました。結果は図3.2、図3.3のとおりです。ちなみに、SX-500DEの公称インピーダンスは6(ohm)です。図3.3の測定では、3(kH)付近でスピーカーから8.3(ohm)の定抵抗に切り替えています。定抵抗のため、切り替えた3kHzから20kHzまで一定の値です。

[図3.2]

(50Hzでスパイク状の突起が出来たのは何故なんでしょう)

[図3.3]


 40(Hz)、150(Hz)、8(kHz)付近の一番インピーダンスが低い箇所の値を求めます。定抵抗8.3(ohm)と、インピーダンスが一番低い箇所では、約4dBの差があります。求めるインピーダンスをX(ohm)とすると、

20*log(X/8.3)=-4
log(X/8.3)=-0.2
X/8.3=10^(-0.2)
X=8.3*10^(-0.2)
X=5.24≒5.2

 したがって、VICTOR SX-500DEの最小インピーダンスは約5.2(ohm)と求められました。

 続いて、1.8(kHz)付近のインピーダンスが一番高い箇所の値を求めます。定抵抗8.3(ohm)と、インピーダンスが一番高い箇所では、だいたい8.5dBの差があります。求めるインピーダンスをY(ohm)とすると、

20*log(Y/8.3)=8.5
log(Y/8.3)=8.5/20
Y/8.3=10^(8.5/20)
Y=8.3*10^(8.5/20)
Y=22.08≒22.1

 したがって、VICTOR SX-500DEの最大インピーダンスは約22.1(ohm)と求められました。

 以上から、VICTOR SX-500DEのインピーダンスは、周波数によって、5.2(ohm)から22.1(ohm)まで変化することが分かりました。


(2010年10月07日)

8.4WinISDによるFostex FW168HRの解析

 個人的に所有欲をそそられるFostex FW168HRのユニットについて、スピーカー解析ソフトWinISDを使って、解析してみました。

 Fostexでは、かつてHP形状で黄色いコーン紙のFW168HPが発売されていましたが、その後生産が完了してしまいました。そして、16cmと10cmから新しい13cmユニットに移行するような雰囲気でしたが、HP形状のコーンをさらに進化させた、10cm純マグネシウムHRコーンの限定ユニットと、16cmウーハーが出ました。(13cmユニットはどうなったのでしょうか?)

 WinISDでは密閉箱とバスレフで、最適なエンクロージャー容量とダクトの共振周波数を計算をしてくれます。赤色と緑色の結果が、WinISDによるバスレフと密閉型エンクロージャーの最適な値です。桃色は、Fostexのデータシートに記載されている推奨バフレフエンクロージャーの値です。青色は、Fotstex推奨箱の容量で密閉型にして計算した結果です。

赤色:バスレフ Fb=52Hz V= 9.4Liter
桃色:バスレフ Fb=50Hz V=14.5Liter
緑色:密閉 V= 4.9Liter (Qtc=0.7)
青色:密閉 V=14.5Liter

[図4.1 周波数特性]


[図4.2 位相特性]


 低域はFostex推奨のバスレフ箱(赤色)がもっとも良く伸びています。低域の位相特性は、密閉型の方がバスレフ型より良い結果を示しています。

 2wayスピーカーのユニットに使うのなら、バスレフ型で低域の量感を稼ぐのが有利でしょう。ただし2Wayに、サブウーハーを加える使い方なら、密閉型でもサブウーハーのハイカット周波数付近までカバーできるので、案外こちらの方がバスレフより良い結果が出るかもしれません。YG AcousticsやAudio Machinaのスピーカーはこの構成です。私のシステムも、スピーカーSX-500DEとサブウーハーSX-DW77を組み合わせた2.1chシステムになっています。

 しかし密閉型でQtc=0.7の時のエンクロージャー容量が4.9Literしかありません。これは、16cmのユニットに対してかなり小さな容量です。小型の密閉箱では、振動板が前後に動くとき、エンクロージャーの空気がバネとして強力に作用します。空気バネは振動板が前後するときにはリミッターとして働くあるはずです。

 巨大密閉箱や後面開放型、逆ホーン型など振動板に空気の付加をなるべく掛けないというような設計思想のスピーカーもよく見られます。平面バッフルなど、実に爽快な音がするものです。しかし、Qtcを小さくしようとすると、密閉箱を大きく、もしくは逆ホーンなどで構造を複雑にする必要があります。

 小さい密閉箱に取り付けたFW168HRがどのような音で鳴るのか。狭い箱に閉じこめられた、いかにも重苦しい音がすると予想します。しかし、実際には箱を作って聴いてみなければ分かりません。許容できる範囲は各個人によって異なるでしょうが、どのような鳴り方をするのか興味が湧きます。

(2010年10月07日)

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