ホームその1その2その3その4その5その6その7その8その9
ジャズ喫茶ベイシーの音7

岩手県一関市にあるジャズ喫茶ベイシー(Jazz Spot BASIE)。熱しやすく冷めやすい私が、未だ飽きること無くベイシーへ通い続けており、ますますジャズの深みにはまり込んでいっています。なので、引き続きジャズ喫茶ベイシーで感じたこと、想ったことなど、散文を書き連ねていきたいと思います。いつまで続くことやら。

第31回目訪問(2008年6月下旬)

ジャズ喫茶ベイシー
(CONTAX T3)

 久しぶりに一関のベイシーへ行きました。前回の訪問は、4月の渡辺貞夫先生のライヴの時、そしてレコードを聴きに行ったのは3月でしたから、数ヶ月ぶりの訪問です。岩手宮城内陸地震の後だったので、果たして営業しているのか?と、少々不安ながらも行ってみました。

 そして、ベイシーの前までくると、営業していました。この日は平日だったのにもかかわらず、テーブルは全て満席。そのため、スピーカーに背を向けて相席することにしました。お客は、もう仕事を引退していそうな方々と女性がいました。

 レコードで、Eric Dolphy in Europe Vol.1がかかります。私の大好きなDolphyです。何度も書いていることですが、やはり、自分の持っているCDを自分のオーディオで聴くのとは、まったく違います。何とも言えない、ごまかしの効かない独奏が続きます。こういう音を自分のオーディオからも出したいのです。

 一関高校生でしょうか、それとも一関高専生でしょうか。生徒とおぼしき方々と引率の先生?らしき人が大勢入ってきます。音楽関係の部活動などをしていて、リズムの勉強でしょうか。良いことです。私は中学時代、絵を描くことに没頭し、高校時代はバーベルを上げ、鉄と友達の毎日を過ごしていました。フルスクワットで130kgを挙げたことは、今でも忘れられません。一関高も一関高専も県内有数の進学校です。ベイシーでジャズを聴いて、ぜひ早稲田大学へ入って、バンドをやって欲しいものです。

 女性が店に入ってくるも、テーブルが皆埋まっているため、ちょっととまどい気味。そこへすかさず、菅原店主が登場し、やさしく奥の丸テーブルへ案内していました。男性客には無愛想極まりない店主ですが、女性にはいと優しい店主です。男の生き様を体現していて素晴らしいと感じました。私も見習わなくてはなりません。

 平日なのに、この混み様は、東北新幹線の無料冊子に掲載された「トランヴェール」効果なのでしょうか。だとしたら何とも絶大な威力です。何せ新幹線に置かれているフリーペーパー。ジャズに興味の無かった人も、車内での暇な時間、つい手にとって見て、興味を惹かれたとしても不思議ではありません。

 店内は綺麗に整理整頓されており、地震の後ということは感じさせません。音は?正直に言って分かりませんでした。毎日、この音を聴いている店主のみが、本当の事を知っているのでしょう。あと、黄金の耳を持つ常連さんの方々とか。私には十分過ぎる程の音です。ただ少し、ビックバンドで、耳に刺さるような高域が気になりましたが、打率8割の音を造るのには、致し方無い部分もあるのかもしれませんし、ただ単に私の耳が悪いせいかも知れません。

 この日の翌日、日野皓正先生のライヴが行われます。ここ3回は、ベイシーでのライヴ観賞を欠かしたことの無い私ですが、今回は都合が付きませんでした。とても残念です。またあのレッドのジャケット着て、まるで青い静寂の状態から切り裂くような音を炸裂させる、先生のジャズを聴きたかったのですが。

 しかし、菅原正二店主、お歳は 67歳くらいのハズですが、見た目が若い。腰も全然曲がっていません。もちろんお腹も出ていない。男から見てカッコイイのです。私も、ああいう風に歳を取りたい。が、むりだろうなぁ。

(2008年07月01日)

第32回目訪問(John Coltraneの命日)(2008年7月中旬)

ジャズ喫茶ベイシー
(CONTAX T3)

 一関のジャズ喫茶ベイシーへ行きました。この日は7月17日(木)、本来なら定休日なのですが、偉大なジャズマンColtraneの命日ということもあって、ベイシーは営業していました。店内に入ると、平日とあってか私の他にお客さんは誰もいませんでした。JBLのシステムから流れるジャズは、まだまだ慣らし運転の様でした。

 チラシを眺めていると、Tiffunyさんのライヴが7月20日にあるようです。この日なら都合が付きます。行こうかどうか迷っています。迷っているようでは駄目ですね。直感で即断できるような判断力、決断力がなければなりません。


(CONTAX T3)

 John Coltrane With The Red Garland Trio / Traneing Inのレコードが最初にかかります。客は私一人、何とも贅沢な時間です。続いてJohn Coltrane And Johnny Hartman ヴォーカルも良いし、Coltrane のサックスも良く、落ち着いて静かなジャズです。それからJohn Coltrane / Giant Steps 先ほどのレコードとは打って変わってテンポがアップしたジャズ。Coltrane のサックスが見事に炸裂してきたという感じでした。

 John Coltrane / Coltrane 。ブルーの青いジャケットが印象的なこのレコード。徐々にColtrane の混沌としていく演奏が聴けます。音楽、ジャズは音が混じり合い、混沌としてカオスの中に、何とも言えぬ快感があるのを私は見つけてしまったのです。John Coltrane / Settin' The Pace。John Coltrane / Stardust と名盤が続きます。と言っても、Coltrane 程のジャズマン神様?のレコードは、ほとんど全て名盤なのだろうと思います。どこかのジャズ喫茶で見たことのあるジャケットですし、聴き覚えのあるメロディなのです。しかし、同じレコードでも、いつもレコードとスピーカーから出てくる演奏は違うのです。だから同じレコードを何度聴いても飽きることがありません。

 2時間程経過したので、追加の注文を頼みます。JR東日本の東北新幹線に置いてある無料冊子の「トランヴェール6月号」の菅原店主の記事によると、客も良い音で聴きたければ、「ニコッ」と笑うとか、追加の注文を頼むくらいの努力が必要らしいです。しかしながら、私が店主に向かって笑っても気色悪いだけです。どうかさらなる Coltrane の魂を見せて下さい。

 このサックスの周りにまとわり付く空気まで再現するのにはどうしたら良いのでしょう。いつも考えてしまいます。「音を聴かずにジャズを聴く。演奏者の想い、心を聴く。」正論だと思います。しかし、想像力の乏しい私には、演奏者の想いや心を、透明な窓として見せてくれる音が必要なのです。ある意味、譜面を見るだけで、もしくはラジカセから音楽を聴くだけで、頭の中を無限の音楽が流れ感動できる人が羨ましいです。そういう私も、中学の頃は安物のCDラジカセで、同じCDを何度も、それこそ擦り切れないCDが擦り切れる程聴いて、今よりも音楽に感動していたような気もします。もし、歳を重ねるごとに、想像力や感性が失われていったとしたら、少し悲しいです。

 Cannonball & Coltrane、Duke Ellington & John Coltrane のレコードが続けてかかります。そして次ぎに、去年も見た、ジャケットが真っ白なレコードがかかります。ジャケットを裏返して見ても、白でした。何度も棚からレコードを出し入れしてジャケットがはげてしまったのでしょうか。それともビニール盤だけ生きていて、あり合わせのケースに入れていたのでしょうか。これがまた、ピアノの重いタッチと、ドラムが良い案配なのです。40cm 2発のウーハーから、ドラムの振動がお腹に「ドスッ」と来るのです。本物のドラムよりドラムらしい音と言ったらよいのでしょうか。この世界は、確かに小型のスピーカーでは味わえません。

 Coltrane のサックスと重いピアノとドラムの響き、素晴らしいジャズです。その後辺りを見回すと、お客さんが10人くらいになっていました。やはり一人で聴いているよりも良いです。店主だって、おそらく客が多い方が、レコードに針を乗せる手ににも、気合いが入ろうというものです。

 John Coltrane / John Coltrane Quartet Plays 音量が上がっていったように聴こえました。Billie Holiday、このレコードで少し小休止でしょうか、休憩みたいなものでしょう。John Coltrane Kuru Mama、出だしのドラムソロが圧巻です。そしてそのドラムの音とリズムに合わせ、Coltrane の演奏が重なり合います。これはまるでドラムとサックスの戦いの様なジャズだと思いました。こんなドラムらしいドラム、サックスらしいサックスは生の演奏でも聴けないのではないか、と考えてしまいます。

 圧倒されるジャズという音楽がり、音がジャズ喫茶ベイシーにはありました。ジャズ喫茶ベイシーのレコード演奏はプロのレコード演奏です。こういう音楽を、私が将来出せるとも思っていませんし、若干ながら、菅原店主と私の好みも違うようです。しかし、演奏者の気迫や心、そういったものが空気を伝わって、聴き手に届くようなオーディオをしたいと思いました。

 これらは土台無理な願いなのかも知れません。ただ、こうして明確な想いとして、心に刻んで置かなければ願いは叶わないと思うのです。この日、私の心にもっとも響いたレコードでした。

 最後にJohn Coltrane / Crescentを聴いて、私はお終いにしました。本当は、感動を書き留める時間すら惜しいのですが、記憶力の乏しい私は、後で思い出して書いたのでは、忘れてしまいます。そしてその時の自分の心境を言葉に表現することも、相変わらず難しいです。

 この日は充実して楽しい一日でした。

(2008年07月21日)

第33回目訪問(2008年8月下旬)

ジャズ喫茶ベイシー
(CONTAX T3)

 一関ジャズ喫茶ベイシーへ久しぶりに行きました。前回の訪問から一ヶ月以上経ってしまっていました。お店の表の掲示板には、早稲田ハイ・ソサエティー・オーケストラと慶応ライトミュージックソサエティの盛岡・花巻の公演ポスターが貼ってありました。日付を見たら、盛岡公演はもう終わっており、花巻公演は明日ではないですか。さて、行こうかどうしようか、考えどころです。早稲田ハイ・ソサエティー・オーケストラは、言わずと知れた、菅原正二ベイシー店主の学生時代に所属していたバンドです。ブラスバンドは良く観に行くのですが、ジャズのビックバンドは未だ経験したことがない私なので、行こうかと思いましたが、明日の用事は外せなかったので、諦めました。

 店内に入ると、いつものとおりの店内でした。50〜60年代のレコードがかかり、古い香りのするジャズが聴けます。カウント・ベイシー・オーケストラのレコードがかかると、この感動以上のものを、明日の花巻の聴衆は味わえるかしら、と比較のしようがないことを考えてしまいます。

 最後に聴いた Bad Powel in Paris のレコード以外は、ベイシーでいつか聴いたことのあるレコードでした。さすがに常連とはいわないまでも30回程度通っていると、50年代、60年代の数多あるはずのレコードの中から、菅原店主のお眼鏡にかなうレコードに出合うのは難しくなってくるのでしょうか。

 また、私は曲よりもジャケットを見て、このレコードは聴いたことの有る無しを判断するたちなので、ジャケットは重要です。なので、どうしてもダウンロードという音楽配信には、全く馴染めないので一度も利用したことがありません。CDの小さなプラスチックのケースとジャケットといえども重要だと思いました。

 Bad Powel というと、どうしても The Amaging Bad Powel Vol.1 の印象が強く心に突き刺さっており、このレコードと同じ人が弾いているとは、ジャズ初心者の私には理解できない部分もあります。まぁ、凡百な私のような人間に、驚喜とも狂気ともとれる音を奏でる偉大なジャズマンを理解できるはずもありません。ただ、その強烈な印象と音とリズムに圧倒され感じるだけです。

(2008年09月21日)

第34回目訪問(2008年10月下旬)


(CONTAX T3)

 今回は、コルトレーンの命日を除いて、初めて平日のベイシーへ行きました。なにしろ休日はともかく、平日は仕事なのです。行くとすれば、仕事帰りということになるのですが、残念ながらベイシーの開店時間と閉店時間はまったく不明なので、今まで行ったことがありませんでした。行く前に電話すれば良いことなのですが・・・。で、今まで平日は、仕事帰りに奥州市のハーフノートへ行く途中にベイシーの横を通って行ったことが何度かあったのですが、いずれの日もすでに閉店しておりました。

 そしてその日、初めて平日ハーフノートへ行こうと、途中寄ってみたところ、看板が灯っており、初めて平日夜のベイシーに行ったのでした。


(CONTAX T3)

 久しぶりのベイシーでした。約2ヶ月ぶりです。こんな時間帯にベイシーへ居る客というのは、一関の常連さんなのだと思います。外は小雨が降っていて静かな夜でした。音量はベイシーにしては控えめで、しかしこれくらいがちょうど良い音量とバランスなのではないかと感じもしました。かかるレコードもそれほどの大音量を出すようなレコードではありませんでしたし。

 休日と平日では音を変えているのでしょうか。40cmのウーハー2発が少し物足りなそうにジャズを鳴らしています。しかし、仕事帰りの金曜日はこれくらいがちょうど良いと感じました。ビッグバンドのジャズなどレコードによって適当な音量があるのだと、改めて認識しました。

 ニーナ・シモンのレコードがかかりましたが、厚みのある歌声も、英語も子音が強調されることもなく、とても静かな等身大の歌声を聴くことができました。高域のバランスもちょうど良いように思いました。これが、コルトレーンのサックスの独奏になると、もっと高域の輝きが欲しいとか、私は思ったりするだろうと思うので、全てのレコードを最適なバランスと音量で鳴らすのは、本当に難しいことだろうなと感じました。

 この感想、書き連ねていることは、私の主観です。そもそも客観的に音楽や音を聴くというのは、とても難しいですし、例えばオーディオマニアとしてケーブルの違いとか、コンセントの違い、アースの取り方を変化させて、全神経を集中して聴くのはとても疲れます。(良い方へ変わった時は嬉しいですけど。)これではオーディオマニア失格なような気もしますが、それが偽らざる私の感想です。ですから、最近は主観的に音楽を聴き、ジャズ喫茶で好きなようにレコードを楽しむことで良いだろうと思っています。

 Ray Briant Trioの名盤がかかります。私も良く自宅で聴いているレコードです。(私が聴いているのはCDです。)やはり名盤は名盤たる良さがあります。身体にスッと入ってくる様な、なじむ感じがします。立てかけられたレコードのジャケットを見ると、「good luck Swifty」とRay Briant氏直筆?と思われるサインがありました。

(2008年11月11日)

第35回目訪問(2009年3月中旬)



 随分と遅くにジャズ喫茶ベイシーに入店しました。昼過ぎの14:00頃一度来てみたのですが、シャッターが閉まって、店が開く気配が無かったので、他で用事などを済ませに行きました。そしてその帰り、ベイシーの横を車で通り過ぎると、意外にも灯りが点いておりました。この時間ですと、入店直後に「ハイ、お終い。」と言われかねない時間でしたが、車を地主町の市営駐車場に駐めて、久しぶりにベイシーへ入店しました。

 ベイシーの2枚のドアを開くと、休日だというのに店内の客席には誰も居ないではありませんか。スピーカーから流れてくる曲はクラシックのレコードでした。私の入店直後に他の客も入店したので、レコードがジャズに変わりました。よかった。最初にJohn Coltrane / Setting the Paceの名盤がかかりました。やはりベイシーの低音にはいささかの揺るぎもないと、久々に来て思いました。部屋の響きもややデッドで、客席の天井が低いにもかかわらず、低域に変なクセも感じられません。

 続いて、TRAINING IN / John with the Red Garland Trio のレコードがかかりました。これもベイシーで良く聴く一枚です。ひんやりした静かな店内でジャズに耳を傾けます。そして、Coltrane live at Birdland 、私の大好きなレコードです。この神がかるようなこのコルトレーンのサックスの音。この音とジャズを自分のオーディオから出してみたいのですが、私のシステムではベイシーのツマの先程も再現出来ていません。そしてSTAXのイヤースピーカーで、このCD盤を聴いても、音が入っていないようなのです。

 CDに音が入っていないのでは、どう再生でがんばっても再生させるのは困難です。どうかこのアルバムの版権を持っているレコード会社は、このコルトレーンの演奏の神がかった演奏と空気と魂を入れてCDなりSACDにして発売して欲しいのです。

 続いてMILES DAVIS COLLECTORS ITEMS がかかります。その次ぎはまたコルトレーンのレコードです、ジャケットはこれも見覚えがあるJohn Coltrane GIANT STEPS です。5枚のレコードを聴いて店を出ました。

 音そのものの力とは、何と強いものなのかと思いました。

(2009年04月04日)

ホームその1その2その3その4その5その6その7その8その9