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富士通テンEclipse TD508PAについて2

〜富士通テンECLIPSE TD 508PAについて、メーカーのホームページでは、タイムドメインという大まかな概念の解説と、エンジニアや演奏家によるECLIPSEの賞賛記事を見ることができます。それらがメーカーの広告ということを割り引いて考えても、とても魅力的にな製品に思えてきます。私自身も、このスピーカーの自然な音や定位感が好みだったので愛用してきました。しかし、周波数特性など具体的な数値が雑誌やホームページに掲載されることがあまりないため、どのような特性を持っているのか知りたいと考えていました。そこで、周波数特性やインピーダンス特性など、いくつか測定を行ってみたので、データをまとめてみることにしました。〜

TD508の周波数特性の測定(軸上50cm)

 前々から行いたいと思っていたTD508の周波数特性の測定を、広い部屋で行えることができたので、軸上50cmの測定してみました。

 測定方法は前回と同じように、富士通テンのTD508の周波数特性を測定してみました。ただしメーカーのように無響室での測定とはいかないので、部屋の音響特性や外来騒音、測定機器(マイク、マイクアンプ、サウンドカードなど)の誤差を含んだ結果となっています。

 測定を行った部屋はおおよそ10畳で、木造の古い農家です。床は畳、天井の高い仏間で測定を行ったので、音響的にはデッドな部屋だと思います。手をたたいても、ビーンという響きは全くしません。測定時には、ふすまを開け放って、他の居間(16畳)や部屋(12畳)と空間をつなぎ、さらに広い空間にしてから測定しましたので、低域から高域まで、反射やこもりはかなり少ない状況で測定できたと思います。

 測定方法は、サウンドカードのアナログ出力をSHARPの1bitアップSM-SX1に接続してTD508を駆動して行いました。結果を図6.1〜6.4に示します。

[使用測定機器]
スピーカー:TD508
アンプ:SHARP SM-SX1
測定ソフト:MySpeaker
サウンドカード:ONKYO SE150PCI
マイク:べリンガー ECM8000
マイクプリアンプ:べリンガー MIC100

[図6.1:軸上50cmサインスイープ]


[図6.2:軸上50cmピンクノイズ]


[図6.3:軸上50cmホワイトノイズ]


[図6.3:軸上50cmクロマチック]


 上記の結果から、軸上30cmで測定したデータとそれほど変わらない値となりました。ノイズPCや他のノイズレベルが高いため、インパルスによる測定と、軸上1mの測定は、一応やってはみたのですが、著しく客観性に欠けるデータが出たため、今回は載せることをあきらめました。屋外のノイズレベルの低い深夜や早朝、それにノイズ発生源となるPCを別の部屋に移すなどして、機会があれば今後再度データーを取って見たいと思います。

 ピンクノイズとホワイトノイズで測定したときの結果から、50(Hz)に凸ができていますが、部屋の共振でしょうか。ここら辺はよく分かりません。

 個人的にはサインスイープよりも、ピンクノイズの方が実際の音楽再生には近い状態だと思いますので、ピンクノイズのグラフが一番参考になるかと思います。サインスイープはかなり上下に振れていますが、スムージングしてみれば、150〜20k(HZ)まで、かなりフラットな特性となることがわかります。

 後は基本的に150(Hz)付近から音圧が低下していくのは、前に軸上30cmで測定したときと同じで、やはりタイムドメインはフリークエンシードメインを目指した設計とはなっていないようです。そもそも、8cm径のユニットに非常に容量の少ないエンクロージャーでは、低域を伸ばそうとしても無理が出てくるので、この辺がTD508の設計の勘所(限界)なのかも知れません。

(2008年07月21日)

TD508その他の特性

 上記の軸上50cmと同じ環境で、高周波歪み測定を行いました。結果を図7に示します。こちらの測定結果の周波数特性はサインスイープによる測定なのですが、スムージングされているのか、非常にフラットです。この周波数特性なら、アコースティックに録音された音楽を楽しむのには、おそらく不満は少ないはずです。サブウーハーを足せば、周波数的にも150(Hz)以下だら下がりの特性が解消されるので、ホームシアターや薄型テレビのスピーカーなどに使っても、非常に良い結果をもたらすだろうと思います。

 高周波歪み測定の結果の2次歪み、3次歪みについて、測定時の外騒音もあり、さらに部屋の吸音が全く完全で無いことから、参考程度に見て頂きたいと思います。本来なら、メーカーが無響室での測定結果を公表してくれれば良いのですが、富士通テン社に限らず、周波数特性やインピーダンス特性という基本的な物理特性すら、公表していないメーカーだらけになってしまいました。物理特性よりも、スピーカーから奏でられる音楽性や芸術性を感じて欲しいとの、メーカーの想いなのでしょうか。

[図7:軸上50cm高周波歪み測定]


(2008年07月21日)

アンプA501について


アンプ本体は円錐形の筐体です。
頂点部分がボリュームになっています。
電源が入るとボリューム下の青いLEDが点灯します。


入力系統は1系統のみ。
ボタンは電源ボタンのみ。


筐体の底面にスピーカーターミナルがあります。
筐体は前1点後ろ2点の3点スパイクで支持されます。


筐体の上面の円錐部分を開けてみたところです。
底面は金属のダイキャスト、円錐部分は樹脂製かと思われます。


非常にシンプルな増幅回路、ICアンプでしょう。
増幅素子はダイキャスト部分に結合されていて、金属筐体部全体で放熱する設計です。


円錐の頂点部分のボリュームに伸びる配線です。
配線材にはとても柔らかい被膜の線材が使われています。


A501用の巨大なAC電源アダプターです。



 A501のアンプを分解してみて、あまりのシンプルな回路に驚きました。予想されていたことですが、限りなくシンプルにすることによる音質向上を目指しているのでしょう。タイムドメインの命とも言える、インパルスレスポンスと位相特性を重視した特性になっているはずです。本当の所は、高度な測定が必要になることから分かりません。

 A501がシンプルな回路といっても、電源回路は別にあるわけです。いわゆるハイエンドと言われる価格のアンプのほとんどは、巨大な電源回路を搭載していますが、増幅回路部分に限れば、非常に小さいアンプも少なくありません。A501が、音質を考慮して電源と増幅回路を別筐体にしたのか、それともただ単にコスト削減でACアダプターにしたのかは不明です。

 高価格で高出力なアンプになればなるほど、コイルとコンデンサーの容量が巨大化するのが一般的のようです。しかし、近年、オーディオよりもよほど消費電力が多い薄型PCなどでも、超小型の電源を内蔵させています。ノートパソコンのACアダプターも小さいものです。PCの消費電力(CPUの発熱)は、もはや電熱器と化しているとさえ思います。

 なので、そろそろ巨大なコイルや平滑コンデンサー、巨大なACアダプターにすることなく、小型で高出力かつ低ノイズの電源の製品が出てきても良いと思います。そうなれば、巨大なコイルやコンデンサーを使わなくても済むことから、筐体も小さくできると思うのです。

 昔ならいざ知らず、最近の巨大な金属のカタマリと物量投入だけを投入しているアンプには、あまり美しさを感じなくなってきました。世間一般の技術の進化に、ピュアオーディオの進化が追いついていないのではないかということに対して、とても悲しくなります。

A501もTD508と同様にMark 2化されましたが、外観からは大きく変わったように見えません。501Aの出力は10W少々ですから、シャープの液晶テレビ音声用の1bitアンプを搭載したり、高効率スイッチング電源を内蔵させたりして、刷新されないものかと思います。

(2010年03月03日)

参考文献・引用文献など
富士通テンECLIPSE TD 508,A501,D3取扱説明書

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